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堀江範一の「さくら物語」


働く、楽しむ、成長する。さくらの日々

●多彩な外出・行事 さくらの楽しみ

さくらでは日々の訪問介護のほか、利用者さんとスタッフでいろいろなところへ外出するイベントや行事を企画して、みんなで楽しんでいます。今では30人程の大人数で出かけることもあります。
僕も利用者の一人として参加しています。

さくらが始まってから、印象に残っている外出を振り返ってみると
・出石そば
僕は10枚も食べられませんでしたが、スタッフの中には20枚ぐらい食べた人も。次回は自分ももっと!とひそかに狙っています。
・舞鶴のおいしい魚
訪れたのは海産センターのようなところで、魚を見るのも食べるのも大好きな僕にとって、とても楽しい一日でした。
・奈良公園
大仏の大きさに感動し、若草山から見る夕日にジーンとしました。
・淡路島
車で一周しようとして時間の都合で半分しか回れませんでしたが、うず潮を見ることができ、妙に満足して帰ってきたのを覚えています。

・夏の花火大会
綾部、宇治、園部……どれもいい場所から見ることができ、迫力満点でした。
・琴滝公園の冬ほたる
京丹波町を訪れたこのときは本当に寒かったのですが、実際に見た冬ほたるは、それはそれは幻想的で、逆に寒さが引き立たせていた感じでした。
・京都競馬場
今では年に1〜2回競馬を見にいくのが、さくらの恒例行事に。
芝生の上を颯爽と疾走する競走馬に、僕は夢とロマンを感じ、同時に現実の厳しさも思い知らされます。僕にとっては「背中で人生を語る男」になるための修業(?)の場となっています。

他にも名古屋城に行ったり、明石焼きを食べにいったり、学園祭、三重県のなばなの里、須磨水族館、釣り、バリアフリー展など、いろいろなところに行きました。
最近のさくらでは独自の行事も企画し、デイキャンプに出かけたり、クリスマス会やカラオケ大会、餅つき、夏祭りなども開いたりして、みんなで楽しんでいます。

一人で楽しむこと、みんなで楽しむこと、いろいろな楽しみがさくらにあります。
利用者さんもスタッフも、みんなが楽しめることをどんどん増やしていくことが、これからのさくらをさらに面白い事業所にしていくと思っています。

●さくらの成長とともに

開設以降さくらは、いろいろな利用者さんと関わってきました。一人ひとりの言葉に耳を傾け、思いを大切にするという姿勢で、介護に携わってきました。
立ち上げ当初から現在まで関わらせてもらっている利用者さんもおられますし、すぐに契約が終わってしまった利用者さんもおられます。
利用者さんと関わり、一つひとつの経験から一つひとつ学び、積み上げてきたことで、さくらは成長してこられたのだと思います。

立ち上げ当初8人だったスタッフも、1年後には13人、3年後には24人、6年後には37人、そして8年目に入った2014年現在は50人と増えてきて、予想を超えた成長ぶりです。

僕自身も、始めは右も左もわからず何をどうしていいかわかりませんでしたが、ただただ目の前のことを一生懸命してきました。そして、さくらとともにいろんなことを見て聞いて、経験して、僕自身もさくらと一緒に成長してこられたと思っています。
さくらができる前、家にずっとこもっていた自分と今の自分を比べて、何が変わったかと問われても答えにくいのですが、さくらとともに様々な体験をしてきたことで、自分の中に何か今までになかった思いが生まれたように感じます。それが何かは、よくわからないのですが、いいものであるのは間違いありません。

●介護を受ける側、介護を提供する側、両方の立場から見えること

僕自身、さくらから介護を受ける利用者なのですが、さくらで働く事業所の人間でもあります。ですから両方の立場から物事を見て、考えるようになりました。

さくらができる前は、僕も利用者の考えしかありませんでした。しかし、さくらで働くようになってから事業所の立場も考えるようになり、立ち上げ当初はそれぞれの立場に混乱しましたが、だんだんとお互いの関係性について考えるようになってきました。
例えば、介護をしてもらうヘルパーさんについて。
利用者さんの立場からすると、気の合う慣れたヘルパーさんにだけに来てもらいたいという人が多いと思います。
しかし、事業所としては、いろいろなヘルパーさんが関わる形で支援していきたいと考えます。利用者さんの暮らしを特定のヘルパーさんだけでなくいろいろなヘルパーさんで支えていく、つまり事業所として支えていくほうが結果的に長く関われますので、利用者さん、事業所、お互いにとっていいことだと考えるのです。
どちらの考えが正しいとか間違っているとか、そういうことではないのです。

介護にはこれが正解だというものがありません。
ですから、それぞれの人が考え、思いを伝え、話し合っていく中で、いい方法を見つけていくことが大切になります。一方的な希望や要望では、やはりいい関係は築けませんから、お互いに理解し合っていく必要があると思います。

あくまでも僕個人の考えですが、利用者さんとヘルパーさん、事業所との関係をいいものにするには、ゆっくりと時間をかけて、お互いが丁寧に関わり合うことが大切ではないかと思っています。
介護を受ける立場としての僕は、やはり自分のことをよく知る人から受けたい、そのためにはゆっくりと時間をかけて、ひとつずつ自分のことを知っていってもらうしかないと思っています。そして相手のことも知ることでいい関係ができ、その結果、いい介護が受けられると思っています。
事業所(ヘルパーさん)からしたら、利用者さんから一方的に理解し難いことを要望されても、なかなか応えられません。しかし、長く付き合ってお互い相手のことが理解できるようになれば、それは一方的ではなくなるのではないかと思います。
つまり、お互いの関わり合いが大切で、それがすべてだというぐらいに、僕は思っています。

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●嵐山さくらの誕生。これからの、さくらと僕

さくらは2013年の4月、嵐山に新しい事務所を構えました。さくらの成長のひとつの結果として、みんなで喜んでいます。と同時に、今までのさくらの思いと経験を、この嵐山でさらによい形にしていくにはどのようにすればよいかと頭を悩ませてもいます。
新しい事務所には、多くの利用者さんと一緒に行事が楽しめるホールや、大人3~4人が一度に入れる大きなお風呂もあり、誰もが遊びに来たくなるような事業所を目指しています。
まだまだ道半ばですが、単なる居宅介護事業所というだけでなく、いろいろな形で障害のある人たちやスタッフと関わっていきたいと思っています。

今の暮らしのほとんどが最初は無理だと思っていた僕も、たくさんの人との出会いで実現できました。
自分の力だけでできないことも、協力してもらえる人がいればできる人との繋がりは可能性を広げてくれますし、それはどこまでも広がるものだと思います。
自分から限界をつくってしまうことはない、できると思っていることが、道をつくってくれます。

さくらの理念は『一人ひとりの人と思いを大切にし、ともに豊かな暮らしができる社会の実現を目指します。』です。さくらが始まって3年ほど経った頃、みんなでお互いの思いを話し合い、この言葉をまとめました。
さくらと関わることで、たくさんの人がいろいろな人との繋がりをもち、それによって豊かな暮らしを実現できるようになれば、これほど嬉しいことはありません。
さくらが、そのような事業所になっていけるよう、これからも力になっていきたいです。

これからもさくらとの関わりの中で、いろいろなことを見つけていき、さらに豊かな暮らしというものを考えていきたいそのためにも僕自身、もっと変わっていきたい。もちろん簡単に変われるわけではありませんが、一つひとつのことを大切にして、自然と変わっていけたらなと思っています。
これから僕が、調子に乗ってどうしようもない人になるか、魅力ある人になるか、その結果どう変わっていけるか、あとのことは運任せです。というのは冗談ですけど、半分は本当にそう思っているので、力みすぎずにぼちぼちいきます。

このさくら物語を書くにあたり、当初は、自分のことを書いたものがいろいろな人に読まれるということに、かなり抵抗がありました。
しかし、自分を見つめなおすとともに、さくら物語を書くことで自分の世界がさらに広がっていくのではないかとも思い、半ば挑戦する気持ちで、そしてたまにふざけたりもしながら、一生懸命に書きました。

これを読んで下さったみなさんへ。
福祉に興味のある方、ない方、
一人暮らしを考えている方、いない方、
ヘルパーをしてみようかと思っている方、いない方、
どなたでも、ぜひ一度、さくらに遊びに来てみて下さい。
新たな出会いにより新たな可能性を見つけられる、そんな素晴らしいことがさくらで待っているかもしれません。

最後まで読んで下さり、本当に、ありがとうございました。

写真

2014年7月1日
福祉処さくら(有限会社レトイチ 取締役)
堀江範一

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